2016年11月9日水曜日

高地トレーニングと長寿との関係

高地民族には長寿者が多いといわれています。
世界三大長寿村は、南米エクアドルのビルカバンバ、パキスタンのフンザ、カスピ海と黒海に挟まれたコーカサスでいずれも標高の高いところにあります。
これは高地では血管が拡張し血圧上昇が抑制され、基礎代謝が亢進することなどによると言われています。

標高の高い土地に住んでいる人たちは、持久的なスポーツ種目を得意とする傾向があります。特にアフリカの高地(ケニア、エチオピアなど)出身の選手は陸上競技の長距離種目で強さを示します。


彼らの生理学的特性を調べてみると、全身持久力を評価する最大酸素摂取量が低地出身の選手よりも高いという傾向にあります。

最大酸素摂取量は、血液中のヘモグロビン濃度により左右され、ヘモグロビンは血液中で酸素を運搬する役目を果たすもので、これが多ければ多いほど筋肉に送られる酸素も多くなります。
高地出身の選手はヘモグロビン濃度も高く、高地出身の一般の人にも同じ傾向があり、高地特有の低圧低酸素という生活環境がもたらした結果だと考えられます。

高地トレーニングは、酸素が希薄な2000m3000m程の高地で長時間にわたる持久性トレーニングを行います。


それにより心肺持久性を高め、最大酸素摂取量を高めることを可能とし、全身持久力を強化します。1968年のオリンピック(メキシコ大会)が標高2240mの高地で行われたため、その選手強化策として、高地トレーニングは有名になりました。

高地トレーニングが長距離のみならず多くのスポーツ種目のトレーニングとして有効であることはマラソンのアベベ選手(エチオピア・2500m)以来、有森選手、高橋選手、野口選手等の日本人女子選手の活躍とともに、広く一般に知られるところになりました。


その生理・生化学的効果としては、酸素不足によってもたらされるエリスロポエチン(EPO)の上昇とそれに伴う赤血球数やヘモグロビン濃度の上昇、赤血球内2,3-DPGの上昇とそれに伴う酸素解離曲線の右傾化、毛細血管網の発達、ミトコンドリアの増加及び酸化系酵素活性の上昇などが挙げられ、その結果、酸素摂取能力が向上すると考えられています。

低酸素下では、NO(一酸化窒素)など血管の内皮を柔らかくする物質の分泌が増えます。
そこに運動を加えるとたくさんの血液が血管内を流れ、さらにNOが分泌されます。また、血液中の糖が効率的に筋肉に取り込まれるので、血糖値が下がります。


近年、こういった環境下での運動が、一般の人の健康にもよい効果をもたらすことがわかってきました!
単に持久力をアップするだけでなく、心血管系や有酸素作業能の改善による動脈硬化や肥満の予防などの健康増進を促すことが実証されてきたのです。
これは、中高年の生活習慣病の要因であるメタボリックシンドロームを予防・改善することもできるということです!!



高地は、酸素濃度が低い事で、興奮が少なくゆったりとした生活になります。
さらに血管が拡張され血圧の上昇が抑制されます。これにより循環器系が改善され動脈硬化等の抑制にもなります。

生活そのものが、運動につながる環境、さらに精神的にもリラックスすることが出来る高地でのライフスタイルが長寿の秘訣になっているのです。






これがヒマラヤ、アンデス、コーカサスなどの高地民族に長寿者が多い理由だと考えられています。

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